「ハープとの別れ」(D408)

ザリス・ゼービス詩

Y・C・M邦詩

も一度鳴らして、音を立てよう

やさしい音色で、きみを追いかけ

憂き世の波も、乗り越えてゆく

若さにあふれた、あの響きは

今は返らない、遠い想い出

二度と戻らぬ、歌のこころ

恋の季節にも、甘い調べ

鳥の声を聞き、花もほころぶ

心もハープも、恋を歌う

働き盛りの、あの頃には

やるせない思いを、ナイチンゲールのように

かなでる音も聞き逃した

たそがれを迎える、暗い胸に

闇に閉ざされた、さだめを越えて

あこがれを呼ぶ、ハープを鳴らそう

 


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