「ドレミファの起原」

階名である「ドレミ」は、グイード・ダレッツォ(イタリア:990年頃生まれ)が「聖ヨハネの夕べの祈り」の賛歌(Hymunus)の曲の各節の頭の音が1音ずつ順に上がっていくことを利用して、その最初の言葉を音を示す名前に利用したものとされています。
元は「Ut、Re、Mi、Fa、Sol、La」と言っていましたが、次第に最初のUt(ウト)が、Dominus(支配者、主)の「ド」と変わったと言われています。
この階名は、6音から成るため「6」という意味の「ヘクサ」から「ヘクサコード」と言われていました。
最初、元の歌の都合で「シ」の音がなく、「ウト、レ、ミ、ファ、ソル、ラ」までしか使えませんでした。それ以上の音を歌いたいときは、「ミ−ファ」の半音をちょうど「シ−ド」の半音に充(あ)てることを利用して、「ソ」を「ウト」に読み替えて、ソの音からまた「ウト、レ、ミ、ファ、ソル、ラ」と歌ったのでした。この読み替えは「変換(mutatio)」と言います。
その後、誰かが「シ」に相当する音を名付ければ、いちいち読み替えなくても良いことに気づき、この音に賛歌(Hymunus)の最後の歌詞の「Sancti Iohanes(サンクティ ヨハネス=聖なるヨハネ)」のSとIを組み合わせた「Si(シ)」と名付け、今の「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」という1オクターブにわたる呼び方が成立したそうです。
こうした「ウト,レ,ミ・・・」は、要するにソルミゼーション(階名唱法)のためのものですから,全音−全音−半音−全音−全音という音程関係(すなわち先に述べた「ヘクサコード」)にすぎないわけです。
従って、「Ut(ウト)」はハ音(C)だけでなく、ヘ音(F)、ト音(G)にもなるわけですから、この点が、各音の固有の音名「C,D,E…」(鍵盤と結びついた絶対音高)との違いで、両者は直接は関係ないということになるわけです。

だから初めから、ニッポン語の音名などを使わないで、素直にもとのイタリア語かドイツ語で調の分類をしておけば、混乱はすべて避けられていたはずなのだ!

 

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