「老人の歌」

F・リュッケルト詩 Y・C・M邦詩

雪が降りつむ家の屋根

住みなれた部屋は暖か

雪より白いこの頭

胸には赤い血が流れる

青春を彩るバラの香は消え失せ

花は散り果てた

どこへ消えたのか?

密かに胸の底に燃えている

いつまでも胸に燃えている

いつまでも変わらずに

恋の季節は過ぎても

密かな思いは消えない

鳥たちの声は消えても

胸に住む鳥は叫んでる

この家の主(あるじ)よ

戸を閉めて人生の

荒波を避けろ

憂き世の風を締め出せ

夢の香りだけに

甘い夢の香りだけに

宿を貸してやれ

夢の香りだけに

ひとときの宿りを許すのだ

 

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