「老人の歌」
F・リュッケルト詩
Y・C・M邦詩
雪が降りつむ家の屋根
住みなれた部屋は暖か
雪より白いこの頭
胸には赤い血が流れる
青春を彩るバラの香は消え失せ
花は散り果てた
どこへ消えたのか?
密かに胸の底に燃えている
いつまでも胸に燃えている
いつまでも変わらずに
恋の季節は過ぎても
密かな思いは消えない
鳥たちの声は消えても
胸に住む鳥は叫んでる
この家の主(あるじ)よ
戸を閉めて人生の
荒波を避けろ
憂き世の風を締め出せ
夢の香りだけに
甘い夢の香りだけに
宿を貸してやれ
夢の香りだけに
ひとときの宿りを許すのだ
→「ロサムンデ・万葉集」へ戻る
→「文化史的考察5」へ戻る