「命のメロデイー」

A・W・シュレーゲル詩

Y・C・M邦詩

白鳥:

水の上のいとなみ

同じ波間に浮かぶ

ぬれた鏡の上で

澄まして泳いでる

空の星を眺めて

雲間の遠い星を

抑えきれないほどに

天国にあこがれる

鷲:

岩の間に住み

嵐を衝(つ)いて飛ぶ

羽ばたきを頼りに

戦いに生きる

岩間がわが住処(すみか)

嵐にも負けずに

翼だけを頼り

戦いに生きる

翼の目指すのは

不死身の日の光

塵にまみれないで

神々に連なる

翼を向けるのは

不滅の日の光

塵にまみれないで

神々を目指す

二羽の鳩:

ミルテの木陰で

仲むつまじく

たわむれに交わす

永いキス

探し合い、求め合い

隠れ合い、巡り合う

ついに二人は巡り合う

ビーナスの馬車を引いて

嘴(くちばし)を合わせる

翼のそよぎを日に照らされて

黄金色に染められ

ささやかな恋の使い

ささやかな恋の使い

嵐を鎮めて

守って下さい

恋の女神さま

小さい幸せを

引き離されるよりも

生け贄に供えられ

二人一緒に焼かれたい

 

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