2005年 秋の例会
ピアノソナタ「幻想」と連弾の午後
独奏
ピアノソナタト長調D894
長井充
ピアノ連弾
3つの軍隊行進曲D733
ロンドニ長調D608 森久保真佐子
阪本 田鶴子
子供の行進曲D928
鈴木久美
鈴木拓道
ナビゲーター 川村幸枝 太田展子
今回の例会では、長井充さんによる、ピアノソナタD894「幻想」を、後半は、会員の阪本田鶴子さんと、ご友人の森久保真佐子さん、鈴木久美さん、拓道君親子にピアノ連弾を演奏していただき、それぞれの曲の解説やエピソ−ドなどを、会員の太田と川村が、ト−ク形式で紹介しました。
70歳になられる長井氏の演奏は、最近の若いピアニストにありがちな、音楽の外側だけを巧みに飾りたてたものでない、自然な音楽の流れと作曲者への真摯な気持ちの伝わる、円熟した演奏で、聴衆を魅了しました。氏の演奏は、音楽を演奏する際、それが生きているもの、生命のこもったものとして再現することの大切さと、シュ−ベルトの頭の中にあった曲の姿に迫ろうとする努力の大切さ…つまり、決して自分の勝手な思いを曲に持ち込んだり、指の動きを見せびらかすために、曲を利用してはならないということを、改めて私達に感じさせてくれるような演奏でした。
後半は、お馴染みの「軍隊行進曲」と、美しい「ロンドニ長調」を、阪本さんと森久保さんお二人の、友人同士による息の合った演奏で、華麗な連弾の世界を楽しむことができました。
そして、真ん中に演奏された「子供の行進曲」では、シュ−ベルトがこの曲を捧げたファウスト君と同じ年齢の、鈴木拓道君が登場。小さいながらも、きれいな音色と的確なリズム感、メロディ−も素直に良く歌われ、そんなお子さんの演奏を暖かく見守り、しっかりと支える鈴木久美さんの姿も微笑ましく、聴衆の心を和ませる素敵な親子連弾となりました。
コンサ−ト終了後は、引き続き同会場で懇親会が開かれました。お馴染みのシュ−ベルトワインが置かれたテ−ブルを囲み、演奏家と参加者が、音楽談義に花を咲かせ、楽しいひとときを過ごしました。
「歌曲王」と称されるシュ−ベルトですが、未完成の作品も含めて21曲のピアノソナタ、40曲の連弾及び8手用ピアノ曲、その他数百曲に及ぶ,舞曲やレントラ−、変奏曲などのピアノ曲を作曲しています。けれども、ごく一部の作品を除いて、一般のピアノリサイタルなどで、それらの作品が演奏されることは滅多にありません。シュ−ベルト協会では、今後、それらの作品を少しずつ取り上げ、シュ−ベルトの音楽を愛する皆様と共に、彼のピアノ曲を楽しむコンサ−トを開催できるよう、努力して参りたいと思っております。(運営委員:太田記)
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