「エリュシオン」

F・シラー詩

Y・C・M邦詩

苦しい嘆きはもう終わり

天国の扉が開く

ためいきを吐くこともない

新たな世界、永久の歓喜

新たな命、永久に漂う

微笑む野原、響く小川

微笑む野原、響く瀬音

苦しいうめきはもう終わる

終わる、終わる

嘆きの声はもうおしまい

やさしく野山をつつむ

とこしえの春よ

すべての時は夢に変わる

身も心も果てしない国へ

秘密が暴かれる

まことの愛の国へ

やさしく野山を埋める

永遠の青春よ

とこしえに栄える春よ

限りないこの感激よ

限りないこの喜び

限りないこの喜び

ここにはもはや悩みはない

ここにはもはや涙もない

恍惚の吐息にあふれ

やさしく抱き合うだけ

限りないこの喜び

限りないこの喜び

限りないこの喜び

ここにはもはや悩みはない

ここにはもはや涙もない

恍惚の吐息にあふれ

やさしく抱き合うだけ

疲れた旅人も手足を伸ばして

木陰に休む

重い荷を投げ捨てて

晴れて飛べ、自由の空へ

草刈りも鎌を捨てる

竪琴の音に誘われ

実りの季節を夢に見る

豊かな実りを夢に見る

とどろくカミナリさえ

耳をかすめる弾の音さえも

耳をゆるがす嵐も

ここには迫って来ない

せせらぎに耳を傾け

槍の音ももう響かない

とどろくカミナリさえ

耳をかすめる弾の音さえも

耳をゆるがす嵐も

ここへはもう追って来ない

瀬音に耳を傾け

槍の音も鳴りやむ

まことの恋人の腕に抱かれて

草原に腰を下ろせば

西風が頬をなぶる

頬をなぶる救いの西風

勝利よ、まことの愛の勝利よ

勝利よ、愛の勝利よ

死の淵から目覚めて

永遠に二人は一つ

永遠の勝利を祝う

永遠に二人は一つ

死の淵から目覚めて

永遠に二人は一つ

永遠に結ばれる

永遠に結ばれる

永遠に二人は一つになる

 

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