「ハデスへの旅」(D526)

ヤコービ詩

Y・C・M邦詩

艪はきしむ、小枝はざわめく

霊たちの叫ぶ声

「岸に着くぞ、暗い岸に

シャバの世界を、はるかに離れて」。

日の光には照らされず

星の輝きもない

歌もなく、友もなく

ただ一人、岸に下り立つ

受け取れ、最後の涙を、地球よ!

この涙を捧げ、永久の別れを告げる

青ざめた娘たち、呪われたタンタロス

死の静寂の渦、忘却の古い河

忘却は二重の死だ

努力の成果も、水の泡になるか?

ああ、いつ果てる悩み、いつ終わる責め苦!

艪はきしむ、小枝はざわめく

霊たちが叫ぶ

「岸に着くぞ、暗い岸に

シャバの世界をはるかに離れて

岸に着くぞ、真っ暗な

おお、浮世を遠く離れて」。

 

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