「羊飼いの嘆きの歌」
ゲーテ詩
Y・C・M邦詩
向こうの山の上に、一人で立って
想い出を噛みしめながら
谷を見下ろした。
羊の群れを追って、犬を先に立て
山を下りてしまった
いつか知らずに。
きれいな花が咲く、野原を埋めつくして
摘んで帰っても、贈る人はいない
雨、風、雷、木陰に避ける
ドアは閉じたままだ、すべては夢だった。
虹の橋がかかる、あの娘(こ)の家に
でもあの娘は今は、遠くへ行ったまま
国境を越えて、遠い異国へ。
立ち止まるな、羊の群れよ!
私は悲しい
立ち止まるな、羊の群れ!
私は悲しい。
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