「回想」(「冬の旅」第八曲)
W・ミュラー詩
Y・C・M邦詩
かかとが熱くなる氷を踏みつけ
息もつがないで走り続けるだけ
石につまつ”いても
かまわずに進む
カラスの投げつける
礫(つぶて)にまみれて
屋根から降り注ぐ
霰(あられ)にまみれて
あの頃はすべてが
輝いて見えた
キラキラ光る窓
小鳥のさえずり
リンデの樹は花咲き
小川はせせらぎ
あの娘(こ)の眼が燃えた
それが命取り
あの娘(こ)の眼が燃えた
それが命取り
も一度あの日が心をよぎる時
も一度あの娘(こ)の
家を探したいな
あの日に返れたら
やり直したいな
あの娘(こ)の家の前に
も一度立とう
あの娘(こ)の家の前に
もう一度立つのだ
あの娘(こ)の家に向かおう
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